ソーシャルスキルとは 対人関係や集団行動を上手に営んでいくための技能(スキル)のことです。対人場面において、相手に適切に反応し、対応するための言語的・非言語的な対人行動の獲得が必要となります。また、対人的葛藤やストレスにも適切に対応できる力も必要であり、それらの習得を促すための方法としてソーシャルスキルトレーニング(SST)があります。
ソーシャルスキルは、先天的に獲得される能力ではなく、多くの人たちと関わりながら知識や能力として身につけ、成長していきます。ほとんどのお子さんはトレーニングを行わなくても、日常的な生活習慣のなかで、親や周りの人の行動(挨拶やコミュニケーション)やそれぞれの場面を見聞き(観察学習)し、また適切な対応を親や他者からの指示や教示を受けることで学び、さらに自己場面において活用(模倣)することで社会生活に必要なソーシャルスキルを習得していきます。
しかし、発達面や認知面にアンバランスさをもつお子さんは、それらのスキルの習得に何らかの困難さを抱えているため、普段の家庭生活や学校などでの社会生活を過ごすだけでは、適切な対人関係を築くことが難しくなります。
特に、集団の中に入りにくいお子さんは、人との関わりの場を持つことが少ないために、ソーシャルスキルの獲得が困難になりやすい傾向があります。
<会話的スキル>
☆あいさつができる
☆自分のことについて話せる
☆自分の気持ちを相手に伝えることができる
☆自分の知らないことや分からないことを質問できる
☆相手の質問に対して適応的な返答ができる
☆相手の気持に配慮した声掛けや場面などに合わせた自発的な声掛けができる
(相手を誉める・励ます・感謝する・ねぎらう・心配する)
☆相手の話を聞いたり、相手の話に応答したり、相互・会話的な対応ができる
<情動的スキル>
☆欲求・葛藤・衝突場面などにおいて、自分の気持をコントロールできる(情動抑制)
☆自分が嫌なことや相手の不合理な要求を感情的にならずに上手く対応できる
☆自分の感情を上手く表現することができる
☆今やりたい気持ちやこだわりをセルフコントロールし、切り替えができる
☆相手の気持ちに対して共感・理解・感謝の気持ちをもつことができる
<行動的スキル>
☆相手の意図や場面に合わせた行動ができる
☆相手の指示に従い、集団内での一斉活動に参加できる
☆自分の気持ちをコントロールして切り替え、次の行動へ移行できる
☆相手の気持を理解して自ら働きかけることができる(同調・共感的行動)
☆ルールやマナーを理解し、それらに即した行動ができる
<自己認知スキル>
☆自分を大切にすることができる
☆自分のできることや得意なこと、自分のできないことや苦手なことを理解している
☆ストレスを解消するための自分なりの対処行動や方略を保持している
☆今、どのような顔(表情)で相手に対応しているか、自分の顔の表情を想像できる
☆相手に対して、不快な思いや対応をしていないか振り返りができる